好天に恵まれたうららかな春の日、3月28日(土)午後から 関西随一のオペラホール兵庫県立芸術文化センターで、愛新覚羅(現福永)嫮生様ご臨席のもと開催されました。
司会は芸術文化センター特別参与・文芸評論家・神戸夙川学院大学教授の河内厚郎氏。対談ではラストエンペラーと愛新覚羅一族の歴史、取材秘話などのお話を。
物語の主人公は清朝最後の皇帝にして、日本がかつて中国東北部に築いた「満州国」の最初で最後の皇帝・愛新覚羅溥儀の姪にあたる愛新覚羅嫮生。
父はラストエンペラー・宣統帝溥儀の実弟である愛新覚羅溥傑。
母は日本の天皇家と血縁関係にある公家の名門嵯峨侯爵家の令嬢、嵯峨浩。二人の結婚は、日本が「満州国」支配をより強固にするための軍部主導の「政略結婚」でしたが、終生分ち難い愛情で結ばれ、戦中戦後の苦難の時代を生き抜かれました。
<朗読は満州崩壊から現代まで、500ページのハイライト場面を一気に語ります。>(第一部・所要時間40分)
この時、すでにソ連軍は満州国境に大軍を展開させていましたが、日本はそれに気づいていませんでした。
満州社交界の華たちが集う茶会。ソファ正面に軍参謀として満州国に赴任していた竹田の宮妃殿下、後列左に皇弟溥傑の日本人妻嵯峨浩。ソファーの背からようやく顔を出している5歳の娘愛新覚羅嫮生。右手、皇帝溥儀の妹君 三格格・二格格
発掘した貴重な歴史写真、音響・照明を駆使した想像を絶する苦難の流浪と一族の愛の物語です。
通化大虐殺、市中引き回し、動乱の大陸をある時は中共軍の捕虜になり、ある時は国民党軍に拘束され、母浩、5歳の娘嫮生、皇后ら一族の6000キロに及ぶ凄絶な流浪が語られます。
皇后は満州国帝宮のとなり、アヘンに侵され、中共軍の捕虜として流浪の果てに、無残な死を遂げます。
嫮生はアミーバ赤痢にかかり、生死の淵をさ迷います。しかし、生きるギリギリの場所で、敵か味方かかではなく、人の情、命のリレーで小さな命はつながれていきます。
一年5か月の流浪の果てに、この母娘は日本に帰り着きますが、嫮生が高校2年生になった時、一族を悲劇が襲います。
学習院大学の2年生だった19歳の姉慧生が、同級生の男性のピストルによって伊豆・天城山で命を絶たれます。
父溥傑との再会、文化大革命の粛清、一族を庇護していた周恩来の死。最愛の妻・浩の死を悼む溥傑の慟哭。阪神大震災・美智子皇后も登場され、物語は続きます。
最後には主人公の愛新覚羅(現福永)嫮生様もサプライズで登壇され、会場が沸きました。
清廉な佇まい、品格のある美しい声でやさしげにゆっくりとお話なさいます。
スクリーンの写真は嫮生様がお育てになっている一族ゆかりの「絆の朝顔」。公演終了後、拙著をお買い求め頂いた方全員にその種をお分けしました。
嫮生様はいつもお変わりなく、その姿を見ただけで、心洗われます。
楽屋で嫮生様から美しい鮮やかな花束を頂きました。
会場に足を運んでいただき、わたくしのつたない語りを最後までお聴き下さった皆様に心より感謝致します。有難うございました。
会場にお越しになれなかった皆様に。これからも朗読映像公演を続けます。また、きっと、どこかの会場でお会い致しましょう。
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■関西学院大学博物館で一族の展覧会が開かれます。
展覧会のタイトル:「愛新覚羅家の人びと −相依為命(あいよっていのちをなす)−」
展覧会期間:2015年5月18日(月)〜7月18日(月)日曜日休館
●記念講演の予定
・5月30日 本岡典子朗読講演「流転の子 最後の皇女・愛新覚羅嫮生―語り継ぐ歴史」
・6月20日 福永嫮生・本岡典子対談「愛新覚羅家の人びと −相依為命」
ご来場お待ちしています。
posted by noriko-motooka at 17:19|
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