■会期 2017年6月5日 (月)〜7月22日 (土)まで。
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http://museum.kwansei.ac.jp/exhibition/exhibition01/
関西学院大学博物館で初めて開かれた企画展『愛新覚羅家の人びと』から2年が経ち、第2弾の企画展です。
思えば関西学院大学と拙著『流転の子 最後の皇女・愛新覚羅嫮生』(中央公論新社刊)』は不思議な縁で結ばれています。拙著出版からまもなく、私の母校である関西学院大学から嬉しい知らせが届きました。14年に開館予定の関西学院大学博物館(建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計で有名な時計台・旧図書館を改装)で、拙著の主人公である福永嫮生氏所蔵の愛新覚羅溥傑一族の歴史資料の研究・保存・展示が決まったのです。
私も同博物館の共同研究員・開設準備室アドバイザーとして微力ながら努めさせて頂くことになりました。
そして、2015年、同博物館で2ヵ月に亘って企画展『愛新覚羅家の人びと』が開催され、私も2度に亘って単独講演と嫮生氏との対談講演を関西学院大学中央講堂で行わせて頂き、合せて1500人に及ぶ皆さまの聴講を得ました。
嫮生氏のご両親にあたる溥傑・浩夫妻の波瀾の人生は、これまで幾度となく映画・ドラマ・ドキュメンタリーなどで取り上げられていますが、福永嫮生氏所蔵の「愛新覚羅溥傑家歴史資料」は、個人の所有であったために、これまでほとんどが公開されることがありませんでした。しかし、日中近現代史を研究する上で貴重な資料群です。
拙著取材時に、嫮生氏所蔵の多くの資料に触れ、私はこの歴史資料群の散逸を懸念し、「何とか公に保存したい」と願ってきました。何よりも嫮生氏自身が恒久保存への強い熱意をお持ちでした。拙著にも描いた170通にも上る父溥傑から娘嫮生への手紙、16年の別離の間に溥傑・浩夫婦が交わした愛の書簡や書画の数々は、日中の歴史のうねりの中で何度も引き裂かれながら、強い絆で結ばれた一族の生きた歴史資料でもあります。
第2弾となる今回の企画展は、前回の企画展出品の資料以外のものを中心に、激動の時代を生きぬいた溥傑一家の軌跡をたどります。特に日中のかけはしとなるべき思いのこもった書簡や漢詩等を展示します。また、「満洲国」の時代を中心に、満洲ツーリズムに関わる資料(旅行案内書、地図など)を通して、溥傑一家以外の人々の満洲への認識についても触れています。これらの展示から、日中のかけはしになろうとした愛新覚羅溥傑家について思いを馳せて頂ければ幸いです。

今回は7月1日に関西学院大学の阪倉篤秀教授が『国の歴史・人の歴史―「満州国」と愛新覚羅溥傑浩夫妻』と題して講演されます。
博物館は、甲山を背にキャンパス中央にそびえる美しい建物です。赤い瓦に乳白色のスタッコ塗壁の対比が鮮やかなスパニッシュ・ミッション・スタイルの建造物で、関西学院大学の象徴でもあります。ぜひ、お立ち寄りください。
会 場
関西学院大学博物館(時計台2階展示室)
休館日 日曜日
入館料 無料