2014年05月08日

『婦人公論』集中連載
「百年愛―あなたともに生き続ける」
〜毒取る(ドクトル)前田夫妻のぽんぽこ長寿談義〜
前田貞亮(ていりょう・91歳)・俊子(としこ・89歳)


131123_1.jpg

『婦人公論』5月7日発売号



日本人の平均寿命は83歳。百寿者は5万4000人を超え、この20年、日本は世界一の長寿国であり続けました。ところが、自立して生活ができる健康寿命は男性70.42歳、女性が73.62歳で、70代も半ばになると男女ともに健やかな生活に制約を受けることが多くなるのです。

ご長寿夫妻シリーズ最終回は、腎疾患研究の第一人者、前田記念腎研究所理事長の前田貞亮博士、俊子ご夫妻にご登場願いました。自称“毒取る(ドクトル)前田”は日本の腎不全治療の最前線に立ち続ける医師であり、日本各地の狸にまつわる民話の発掘や狸の置物の収集家としでも知られます。妻の俊子さんは表千家師範として十代から茶道家の道を歩んできました。

COME COME(噛む噛む) EVERY DAY
貞亮博士が提唱する健康法はいたってシンプルで、「咀嚼百編、胃おのずから喜ぶ」これに尽きると言います。

「食事中はお茶や汁などの水分を取らず、食べ物が完全にペースト状になり、唾液での見込めるまで、COME COME(噛む噛む)EVERYDAY!毎食、一時間、噛み続けることです」。

生涯現役カップルのご長寿の秘訣と、生活習慣病を予防し、メタボリックシンドローム・内臓脂肪症候群を撃退する「ドクトル前田の食事療法」を軽妙洒脱な狸談義と共にお届けします。全6ページです。お楽しみ下さい。
posted by noriko-motooka at 22:57| コラム

2014年04月20日

『婦人公論』集中連載
「百年愛―あなたともに生き続ける」
吉澤正大(96歳)・登美枝(92歳)
細谷孝至(91歳)・琴子(90歳)編


140420_1.jpg


百寿者は5万4000人を超え、平均寿命は男性79.4歳、女性85.9歳になりました。しかし、平均年齢の伸びに比べ、自立して生活できる健康寿命の伸びは小さく、この差は広がっています。

平均寿命と健康寿命の差は男性が約9歳、女性に至っては約12歳も低くなっています。高齢になると女性は骨粗鬆症やアルツハイマー型認知症といった疾患を罹患しやすいため、長寿であっても健康を維持できなくなることが増えてくるためです。

男女の結婚時の年齢差、寿命差を考えると、夫婦ともに健康で卒寿(数えの90歳)を迎えることができるケースは長寿大国日本でも、まだ稀であると言えます。

ご長寿夫妻シリーズ、2回目は江戸末期、ジョン万次郎の持ち帰ったミシンで独自に洋服製法を研究し、日本アパレル発祥の店と言われる銀座の大店「植久(うえきゅう)」こと「植村久五郎商店」(軍装店)の姉妹夫妻が掴んだ4人で369歳、ご長寿の秘密に迫ります。全6ページです。
posted by noriko-motooka at 11:57| コラム

2014年03月15日

『婦人公論』集中連載が始まりました。
「百年愛―あなたともに生き続ける」


140312_1.jpg

『婦人公論』3月7日発売号



日本人の寿命は延び、百寿者が5万4千人を超えました。平均寿命は男性が約80歳、女性が約86歳。でも、この数字は2012年の時点で亡くなった女性の平均年齢ではありません。

一般に「平均寿命」として使われている数字は正しくは、「各年における0歳児の平均余命」で、その年に生まれた子どもが、将来、何歳まで生きるかを想定した数字です。たとえば2012年の女性の平均寿命は86.41歳ですから、2012年に生まれた女性が平均的に86.41歳まで生きられることを意味します。この数字には大規模な自然災害や戦争、生命科学の急激な進歩は含まれていません。ですから、多くの人が想像する“平均寿命”のイメージとは少し違っています。

出生者の半数が生存するとされる「寿命中位数」の統計を見ると、2012年、男性82.95歳、女性89.25歳となり、女性は90歳近くなっても半数がすでに存命ということになります。今後の急速な生命・再生医学の進歩を考えると、寿命百年時代もそう遠い未来のことではないようです。

前置きが長くなりましたが、そんな人生百年時代、二人で180歳以上、「健康長寿カップル」の秘密を探るシリーズの初回は、二人で189歳、ともに現役で活躍する堀江正夫(98歳)・泰子(91歳)夫妻のルポルタージュです。

堀江正夫さんは1915年広島生まれ。元陸軍大尉として第2次大戦でもっとも悲惨な戦場といわれた東部ニューギニア戦線を生き抜かれ、戦後は陸上自衛隊陸将、参議院議員を務められました。現在は東部ニューギニア戦友・遺族会会長として、戦後、今に至るまでパプアニューギニアで戦死者の慰霊と遺骨収集に尽力されています。
堀江泰子さんは1923年宮崎生まれ。料理研究家です。「温かい家庭料理で家族の健康と幸せを作りましょう」をモットーに、47年間出演したNHK総合テレビ『きょうの料理』、日本テレビ系列『キューピー3分クッキング』などで知られます。

とっても楽しい!お二人のご長寿の秘密に迫ります。
posted by noriko-motooka at 17:42| コラム

2014年01月01日

新年のごあいさつ

新年 明けましておめでとうございます。

 昨年、魂の巨人、ネルソン・マンデラが九十五歳の生涯を閉じました。私はかつてこの国で2年余りの歳月を過ごし、「赦し」と「寛容」で人を憎しみの連鎖から解き放つ叡智に触れました。ヨハネスブルクから遥か三〇〇〇キロ。目を閉じれば、彼の故郷ウムタタの草原を渡る風の音、アフリカの果てで家族で過ごした日々が懐かしくよみがえります。

140108_1.jpg

マンデラの故郷 トランスカイ地方



 一昨年から基礎取材を進めていた歴史ノンフィクションの本取材に入りました。現代モノでは“ご長寿夫妻の秘密”に迫るルポルタージュを雑誌連載から始める予定です。

 時代の大きな転換点にあって、 今、ささやかな自分にできることを「覚悟」を持って、続けていきたいと思います。
 
あなた様にとって新しい年がよい年になりますようお祈り申し上げます。今年も宜しくお付き合い下さいませ。

140108_2.jpg

ケニア マサイマラ



2014年 元旦
本岡 典子
posted by noriko-motooka at 00:00| コラム

2013年12月22日

ネルソン・マンデラ 神よ!アフリカに祝福を

2013年12月5日、ネルソン・マンデラ逝く。人を憎しみの連鎖から解き放ち、すべての人間の尊厳を求め続けた魂の巨人であった。

10年前、私は南アフリカで2年余りの歳月を過ごした。ヨハネスブルクから遥か3000キロ。目を閉じれば、彼の故郷ウムタタの草原を渡る風の音が聴こえる。乾いた草の匂い、射るような陽の光、手を伸ばせば届きそうな青すぎる空が、大地をすっぽり包んでいる。地球最古の大陸、アフリカの大地はどこまでもゆるやかに広がり、限りない包容力に充ちていた――。


アフリカにいて自然や風土が人を作っていくのだとつくづく思う。マンデラが子供時代を過ごしたウムタタ郊外のクヌの広大な草原の谷を見下ろす丘に座ると、遥かな惑星にいるような錯覚に陥る。自分自身が宇宙の懐に抱かれ、地球船に乗って漂っているような。淡い緑色の丘が地平線の向こうまで続く雄大なパノラマ。不屈の精神で差別と闘ったマンデラの心の原風景だと実感した。

27年半、幽閉された闘士にとって、あの獄中の鉄格子の窓から見える小さな空が、このクヌの空に続く限り、彼の心は草原を駆け抜けた少年のように自由で希望に充ちていたのだろう。

131222_2.jpg

「自由への長い道」マンデラの故郷に向かう旅



子ども時代のマンデラはこの地で多くのことを学んだ。「ここでマンデラさんはロバから落ち、友だちに笑いものにされました。その時、彼はこの屈辱的な思いを決して他人には味わわせてはいけないと思ったのです。闘いで一番大切なことは、ただ勝つことではなく、敗者が誇りを持って負ける方法を勝者が考える事だと、この経験から彼は学んだのです」案内の女性がそんな逸話を話してくれた。 

このあと、未舗装路を車で1時間走り、ムベソという彼の生誕地まで足を伸ばした。深い谷を見下ろす斜面に、円形に石を積んだだけの生家の跡がわずかに残っていた。権力と富を求めなかったマンデラの生き様が顕れていた。

彼は95年の人生で「あらゆる人間の心の奥底には、慈悲と寛容がある」ことを示した。自叙伝「自由への長い道」で、「自由になるということは、自分の鎖をはずすだけではなく、他人の自由を尊重し、支える生き方をすることだ」と述べている。
For to be free is not merely to cast off one’s chains, but to live in a way that respects and enhances the freedom of others.

人間の憎しみの連鎖を解くことを訴えたマンデラは、また、自己の魂の高みを目指す生き方を教えた。

我々は自分に問いかける。自分ごときが賢く、優雅で美しく、才能にあふれた素晴らしい人物であろうはずがないではないか?
だが、そうあってはなぜいけない?

We ask ourselves, who am I to be brilliant, gorgeous, handsome, talented and fabulous?
Actually, who are you not to be?

南アの友人たちは、マンデラを失った悲しみよりも、彼への祝福を口にした。「マディバ(マンデラの敬称)は愛と誇りを教えてくれた。心から有難うと言いたい」「彼の人生は愛に満ちていた。たとえロベン島に囚われていた時でさえも」「マンデラという全世界の人々の英雄がこの世にいたことを、ともに祝おう!」

この日、日本では国民の知る権利を侵害し、主権を形骸化する特定秘密保護法案が参議院で可決された。

まずなによりも、自分に正直でありなさい。自分自身を変えなければ、社会に影響を与えることなど決してできません。偉大な平和の調停者はいずれも、誠実さと正直さ、そして謙遜さを兼ねた人たちです。

The first thing is to be honest with yourself. You can never have an impact on society if you have not changed yourself… Great peacemakers are all people of integrity, of honesty, but humility.

南アには人々が人種を問わず、うれしい時、悲しい時、共に歌う新生南アの国歌「Nkosi Sikele‘le Afrika」がある。人間の尊厳を高らかに謳った。邦題は「神よ、アフリカに祝福を」。

この歌には国家への従属ではなく、いのちの尊厳を守り抜く決意と、自らの魂への深い問いかけがある。

今、ささやかな自分にできることを「覚悟」を持って、続けていきたいと思う。

「愛」と「赦し」と「寛容」の人、マディバに神の祝福あれ。

131222_1.jpg

ネルソン・マンデラ元大統領と盟友アルバティーナ・シスル夫人

posted by noriko-motooka at 10:00| コラム

2013年11月23日

関西学院大学で朗読映像講演を行いました


131123_1.jpg

第5別館大教室


母校関西学院大学で文化講演会を行いました。大型台風が北上するなか、開催が心配されていましたが、当日はお天気にも恵まれ、予想をはるかに超える多くの方々がお越し下さいました。心から感謝申し上げます。

拙著『流転の子 最後の皇女・愛新覚羅嫮生』の取材秘話を交えながら、本編朗読と数々の秘蔵歴史写真、音楽で綴る一時間半の「朗読映像講演」を大河ドラマの趣でお届けするものです。

131123_2.jpg

歴史写真の数々を公開しました



講演後も聴講頂いた方々から、お心のこもった多くのお手紙やメールを頂きました。戦争の修羅、引き裂かれてもなお求め合う家族、隣人との愛―。日中にうねる歴史の波に翻弄されながらも、不安と閉塞感漂う時代に、「再生への祈り」のメッセージを放つ物語への共感でした。

この物語が持つ普遍性と、今、語られなければならない必然性を強く再認識させられました。一つひとつのお手紙に心引き締まる思いです。有難うございました。

今、東アジアは大きな時代のうねりの中にあります。日本は重大な歴史の転換点に立っています。

この時代だからこそ、国を超え、体制の違いを超えて、真心だけが人をつなぐと信じた人々の愛の物語を、これからもできる限り多くの方々に伝えてしていこうと思います。国家が起こした戦争が、どれほどの惨禍をもたらすのか。そこで生きた人々の営々とした普遍の絆の物語を書いていきたいと思います。


131123_3.jpg

福永嫮生様から会場に花束が届けられました


posted by noriko-motooka at 00:00| コラム

2013年10月13日

「明るいメノポ相談室」の回答者として、
読者の皆様の悩みにお答えします

131013.jpg


いつまでも健康で、美しくありたいと考える40代・50代の女性のためのアンチエイジングライフスタイルマガジンを謳う『日経ヘルスプルミエ秋号』(日経BP社刊・9月20日発売)、「明るいメノポ相談室」(P113)の回答者として、読者の皆様の悩みにお答えしています。

秋号のご相談は
夫は私が人と会うのを嫌がります。子育ても一段落。友人と食事や旅行をしたいのですが、外出すると機嫌が悪く、「だれと会った?」としつこいのです。別にやましいことはありませんが、最近、束縛の強さにうんざり。どうしたらいいでしょう?
という53歳の女性の方からです。

毎日「束縛されている」と感じながら暮らすことは、大きなストレスですね。さぞ、お辛いでしょう。でも、意外と、ご主人は若いころから全然変わっていないかもしれません。むしろあなた自身が変わったことで、同じ夫の行動を「束縛」と感じるようになったのではないでしょうか? 

こんな問いかけから、お答えしています。

定年前後の夫を持つこの世代の奥様なら、きっとどなたもお持ちのような悩みです。でも、定年後、ずっとこのような生活が続くなら、本当にストレスですね。体調も崩しかねません。では、どうすれば……。


「明るいメノポ相談室」のP114を宜しければご覧ください!
同ページへの相談や感想などの投稿は同誌の以下の「投稿ページ」にお願いします。
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=nh0709/index.html
ご意見、ご感想、ご相談をお待ちしています。
posted by noriko-motooka at 00:00| コラム

2013年09月15日

関西学院大学での文化講演会のお知らせ

母校関西学院大学で文化講演会をさせて頂きます。

●『流転の子 最後の皇女・愛新覚羅嫮生』
ー相依って命を為す 愛と再生の物語を今に問うー
・日時 2013年10月26日(土曜日)14時00分―15時30分
・場所 関西学院大学上ヶ原キャンパス
・会費 学生 職員無料 一般500円
・申込み方法 下記をクリック→西宮文学案内秋講座→申込フォーム(問い合わせフォーム)より、申し込み。どなたでも参加頂けます。詳しくはポスターと下記HPで
http://www.nishi-bunka.or.jp/

130915.jpg

・締切 10月2日 
・定員 申し込み多数の場合は抽選
・主催 西宮市文化振興財団 共催 関西学院大学 博物館開設準備室(26日のみ)
内容
拙著『流転の子 最後の皇女・愛新覚羅嫮生』の取材秘話を交えながら、本編朗読と数々の秘蔵歴史写真で綴る異色の講演です。

ラストエンペラーの姪、愛新覚羅嫮生(西宮在住)は、日本の敗戦後、わずか5歳で、動乱の大陸を母と共に筆舌に尽くしがたい流転の旅を続けた。父は皇弟溥傑。母は日本の嵯峨侯爵家令嬢、嵯峨浩。

嫮生はわずか十三年で滅んだ幻の国「満州国」の皇帝一族として生まれた宿命を背負い生きた。国共内戦下の大陸を家族離散、中国民衆の罵倒に耐え、密告、裏切り、病魔、一族の死に遭遇しながら、母と共に凄惨を極めた逃避行の末、本国への奇跡の生還を果たす。戦後は日中の懸け橋として自らのなすべき責任を果たしつつ、市井の人間として多くの人が当たり前のように手に入れる「平穏な生活」を守るため、ひたむきに生きた―。

日中にうねる歴史の波に翻弄されながらも、不安と閉塞感漂う「弧の時代」に、「絆」と「再生への祈り」のメッセージを放つ「魂の皇女」の物語。

体制の違いを超え、真心だけが人をつなぐと信じた人々の壮絶・壮大な愛の物語を大河ドラマの趣でお届けします。お楽しみください。

『流転の子』の主人公である愛新覚羅一族の歴史資料の恒久保存と展示、共同研究の拠点が来年オープンする「関西学院大学博物館」(旧時計台・図書館を全面改装)に誕生します。
その先駆けとしての講演です。 
どなたでも参加頂けます。当日、会場でお待ちしております。
posted by noriko-motooka at 12:25| コラム

2013年04月03日

「明るいメノポ相談室」の回答者として、
読者の皆様の悩みにお答えします

130403.jpg

いつまでも健康で、美しくありたいと考える40代・50代の女性のためのアンチエイジングライフスタイルマガジンを謳う『日経ヘルスプルミエ春号』(日経BP社刊・3月21日発売)から、「明るいメノポ相談室」(P114)の回答者として、読者の皆様の悩みにお答えしています。

春号のご相談は
「夫が定年になって、一日中家にいます。これまでは、自分一人だったので適当にしていた昼ごはんも、時間どおりにきちんとしたものを出さないと嫌な顔をします。日用品の買い物にまでついて来たり、つきまとわれてうっとうしくて、息が詰まります……」(Y・Yさん 59歳)という、定年前後の夫を持つこの世代の奥様なら、きっとどなたもお持ちのような悩みです。

本当にこれは深刻です。夫が会社の束縛から自由になって家に戻ってきたら、今度は妻の自由を一日拘束するのでは、堪ったものではありません。
この時期、夫より10年早く地域や生きがいに目を向け、「人生最後のチャンス」と感じる妻は、外の世界に向かって急激にエネルギーを出し始めます。生活面、そして精神的でも自立できない夫は妻へにじり寄りを始めます。定年で経済力を失う夫と妻との力関係は逆転します。

「妻と二人でいる時が一番幸せ」と感じる夫に対し、妻は「一人の時が一番幸せ」と感じています。それまでに絆を作りえなかった定年後の夫婦の溝は深刻です。

長寿社会を迎え、夫婦だけで向き合う時代が四半世紀を越えた現代において、夫婦は「生活と心」を分かち合う関係でなければ続きません。「夫定年後の危機」を夫婦再生の好機と受け止め、パートナーとしての新たな関係をもう一度作りあげていくには、どうすればいいのでしょうか。

「明るいメノポ相談室」のP114を宜しければご覧ください!
同ページへの相談や感想などの投稿は同誌の以下の「投稿ページ」にお願いします。
ご意見、ご感想、ご相談をお待ちしています。
posted by noriko-motooka at 00:00| コラム

2013年02月10日

『流転の子 最後の皇女・愛新覚羅嫮生』と
母校・関西学院大学

余寒お見舞い申し上げます。
激動の日中間を生きた女性とその一族の愛と絆、人間の再生を描いた歴史大河ノンフィクション『流転の子 最後の皇女・愛新覚羅嫮生』(中央公論新社)刊行から一年半が過ぎました。多くの皆様が手に取って下さり、メディアにも数々取り上げて頂きましたことを心から感謝申し上げます。長く読み継がれる作品に育てていきたいと切に願います。

拙著出版からまもなく、私の母校である関西学院大学から嬉しい知らせが届きました。14年に開館予定の関西学院大学博物館(登録有形文化財であり、建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計で有名な時計台・旧図書館を2年の歳月を掛けて改装中)で、拙著の主人公である福永嫮生氏所蔵の愛新覚羅溥傑一族の歴史資料の研究・保存・展示が決まったのです。今年は私も同博物館の共同研究員・開設準備室アドバイザーとして微力ながら努めさせて頂くことになりました。

嫮生氏のご両親にあたる溥傑・浩夫妻の波瀾の人生は、これまで幾度となく映画・ドラマ・ドキュメンタリーなどで取り上げられていますが、福永嫮生氏所蔵の「愛新覚羅溥傑家歴史資料」は、個人の所有であったために、これまでほとんどが公開されることがありませんでした。しかし、日中近現代史を研究する上で貴重な資料群です。

拙著取材時に、嫮生氏所蔵の多くの資料に触れ、私はこの歴史資料群の散逸を懸念し、「何とか公に保存したい」と願ってきました。何よりも嫮生氏自身が恒久保存への強い熱意をお持ちでした。拙著にも描いた170通にも上る父溥傑から娘嫮生への手紙、16年の別離の間に溥傑・浩夫婦が交わした愛の書簡の数々は、日中の歴史のうねりの中で何度も引き裂かれながら、強い絆で結ばれた一族の生きた歴史資料でもあります。

意外にも愛新覚羅家そのものに光をあてた学術的研究は少ないのです。それは戦後における日中双方の近現代史研究において、「満洲国」が否定されるべき存在として扱われてきたことと無関係ではないと思われます。しかし20世紀の東アジア史は、近年ようやくイデオロギー的制約から解き放たれ、本格的な歴史学的研究の対象となりつつあります。このような時に、「愛新覚羅溥傑家資料」の持つ歴史学的重要性を認め、学術的な保存・研究・展示が決まったことは、『流転の子』を書いたものとしてこの上ない喜びです。

来年、開館予定の博物館は、甲山を背にキャンパス中央にそびえる美しい建物です。赤い瓦に乳白色のスタッコ塗壁の対比が鮮やかなスパニッシュ・ミッション・スタイルの建造物で、関西学院大学の象徴でもあります。開館の折には、ぜひ、お立ち寄りください。

関西学院大学図書館.jpg

関西学院大学旧図書館(博物館として来年オープン)



今、私は前作に続く歴史ノンフィクションと現代ルポルタージュなどの取材を進めております。今年も、どうぞ宜しくお付き合い下さいませ。
posted by noriko-motooka at 19:21| コラム