ここしばらくは、フランスに滞在し、ドイツ占領下のフランスのUボート基地のあったブルターニュ地方のロリアン、ブレスト(現在も仏海軍の軍港です)、上陸作戦(1944年6月6日に連合軍によって行われたナチス・ドイツ占領下の北西ヨーロッパへの侵攻作戦)のあったノルマンディー地方のオマハ・ビーチ、ゴールド・ビーチなど海岸地帯を取材していました。
戦時下、ドイツとの連絡を担う手段は潜水艦しかなく、日本から5隻の潜水艦が派遣されました。
海の難所、アフリカ大陸の果て、喜望峰を迂回し「吠える南緯40度」ロアリング・フォーティーズを越え、苦難の旅の末にたどり着いたのが、軍港ロリアンとブレストでした。
しかし、日本に戻ってきた潜水艦はわずか一隻。その伊8潜も沖縄戦で凄絶な最期を遂げました。
ロリアンのブンカー(Bunker・潜水艦を護る巨大なコンクリートの防空施設)は70年の時を超え、今も当時のままの姿で残っていました。

ロリアン・Uボートブンカー

海水を湛えたブンカー内部

ブンカ−敷地内の仏軍展示潜水艦
ロリアン軍港は戦後、仏海軍の潜水艦基地となり、ブンカ―もそのまま使われましたが、冷戦の終結と共に基地はブレストに移り、今は洒落たヨットハーバーへと変遷を遂げています。
林立するマストが風に揺れる音、カモメの鳴き声だけが響く岸壁。空は海を抱いて眩しく碧く、遥かな人々の歴史を包み込んでいました。

ヨーロッパ最西端 地の果て ラ岬